「試験官に内容が明確に伝わる業務内容の詳細」の書き方

試験官に業務内容が明確に伝わるように「業務内容の詳細」を書いてください。業務内容の詳細は,自分の技術力を試験官にアピールする重要なプレゼンテーション資料です。

業務内容の詳細で書いた内容は口頭試験での質問対象になります。

試験官に,業務内容の詳細が明確に伝わるように書くことで,自分の行った業務を試験官にはっきりと伝えることができるとともに自分の行った業務が適切に評価されます。

ここでは,「『試験官に内容が明確に伝わる業務内容の詳細』の書き方」のポイントとして以下の項目について解説します。

Ⅰ.業務内容の詳細の内容について

(1)記載項目(見出し)について

(2)内容が明確に伝わる業務内容の詳細とは

(3)内容がねじれた業務内容の詳細を書かない

Ⅱ.業務内容の詳細の具体的な書き方

(1)業務の棚卸をする

(2)業務の棚卸の利点

(3)業務内容の骨格を作る

(4)骨格に肉付けをする

(5)この手順で書く

Ⅰ.業務内容の詳細の内容について

(1)記載項目(見出し)について

業務内容の詳細では記載項目(見出し)を書きますが,この解説の中では,日本技術士会が公表している「令和3年度・技術士第二次試験受験申込み案内」に基づき,「目的,立場と役割,技術的内容及び課題,技術的成果」の4項目を業務内容の詳細を書くうえでの記載項目(見出し)とします。

日本技術士会が公表している記載項目(見出し)では,「技術的内容及び課題」と「技術的成果」となっていますが,課題からすぐに技術的成果が出てくることはありません。必ず,課題に対する技術的提案があります。

そこで,この解説では,技術的提案も技術的成果と考えて,技術的提案を項目に加えることを前提とします。

(2)内容が明確に伝わる業務内容の詳細とは

内容が明確に伝わる業務内容の詳細を書いてください。「明確に伝わる」を言い換えると「はっきりと伝わる」になります。

例えば,以下の2つの文を比べてください。これは,技術的成果を書いた文だと考えてください。

A:技術的成果は,提案した対策で高齢者ドライバーの事故数を大幅に低減できたことだ。

B:技術的成果は,提案した対策で高齢者ドライバーの事故数をピーク時の約1/3に低減できたことだ。

Aの文は,技術的成果がぼんやりと伝わります。「大幅に低減できたこと」が不明確です。

これに対して,Bの文は,技術的成果が明確に(はっきりと)伝わります。「ピーク時の約1/3に低減できたこと」と具体的な成果を書いているからです。

Bのような文を書くことで,自分の行った業務を試験官にはっきりと伝えることができるとともに自分の行った業務が適切に評価されます。「大幅に低減できた」では試験官もこの技術的成果を適切に評価できません。「大幅に」の解釈が読み手によって異なるからです。

試験官に内容が明確に伝わる業務内容の詳細とは,Bの文のように内容が明確に(はっきりと)伝わる業務内容の詳細のことです。

(3)内容がねじれた業務内容の詳細を書かない

「内容がねじれた業務内容の詳細」とは,課題・提案・成果の内容がねじれている業務内容の詳細のことです。

業務上の課題・技術的提案・技術的成果はすべて関連しています。「課題に対する提案,提案に対する成果」です。しかし,内容がねじれた業務内容の詳細にはこれらに関連がありません。関連がないとは例えば次のようなことです。

課題の中に,工事費のコスト削減に関することが書かれていないにもかかわらず,成果の中に「工事費のコスト削減が達成できた」と書いてあることです。

実際,これまでに読んだ業務内容の詳細にこのような内容がねじれたものが複数ありました。

内容がねじれた業務内容の詳細を読むと頭の中が混乱します。内容がねじれた業務内容の詳細を書くと,自分の業務を試験官に明確に伝えることができません。また,自分の業務が適切に評価されません。

Ⅱ.業務内容の詳細の具体的な書き方

(1)業務の棚卸をする

このような内容がねじれた業務内容の詳細を書く理由の1つは,「課題は課題,提案は提案,成果は成果」のようにこれらをバラバラに考えていることがあります。

*課題は何だったかなあ?

*提案は何だったかなあ?

*成果は何だったかなあ?

この対策として,業務内容の詳細を書く前に業務の棚卸をしてください。業務の棚卸とは,業務で行ったことをノートなどに書き出すことです。

業務のスタートからエンドまでの流れに沿って一つ一つ順番に自問自答しながら業務で行ったことをノートなどに書き出してください。

例えば,

*どんな業務だったか
*目的は何か
*方針は何か
*どのような立場と役割で業務を行ったか
*具体的にどのような検討を行ったか(検討項目は何か)
*どのような手順で業務を行ったか
*業務上の課題は何か
*検討条件(設計条件)は何か
*課題に対する技術的な提案は何か
*具体的にどのような結果が出たか
*提案に対する成果は何か
*結論に至った経緯は何か
*今後の課題は何か・・・など

頭の中にあることをすべて書き出したら,書いたことを読み返し,業務のスタートからエンドまでのことを確認してください。これは,業務というストーリーをスタートからエンドまで確認することです。

(2)業務の棚卸の利点

業務の棚卸には以下のような利点もあります。

①業務の棚卸をすることで,業務内容の詳細を提出したあと「アッ〇〇を書き忘れた」というミスを防げます。
②業務の棚卸は口頭試験対策も兼ねています。口頭試験では業務内容の詳細に書いたことに関しての質問があります。業務で行ったことをすべて書き出しておけば(整理しておけば)口頭試験の対策にもなります。

(3)業務内容の骨格を考える

業務の棚卸をしたら業務内容の詳細を書きますが,まず,業務内容の骨格を考えてください。業務内容の骨格を考えるとは,「目的,立場と役割,技術的内容,課題,技術的提案,技術的成果」の6項目の骨格を作ることです。

骨格とは,目的の要点,立場と役割の要点,技術的内容の要点,課題の要点,技術的提案の要点,技術的成果の要点です。

例えば,課題の要点とは以下のような内容です。

厳しい施工条件を満たす補修工法の選定と施工計画の立案が課題であった。

すなわち,課題の要点とは,課題を一言で言ったことです。6項目の骨格を作ることとは,目的,立場と役割,技術的内容,課題,技術的提案,技術的成果を一言で言ったことを考えることです。

(4)骨格に肉付けをする

6項目の骨格を考えたら骨格に肉付けをしてください。例えば,先ほど書いた課題の骨格(課題の要点)に肉付けをすると以下のようになります。

ここで,厳しい施工条件とは,通水断面を確保するため支保工を函渠内に設置できないこと,交差点内での昼間の通行止めができないこと,市条例により夜間施工が規制されていることの3つの条件であった。

すなわち,骨格に肉付けをするとは,課題の要点の説明(この場合にはこの課題を考えた根拠)を考えることです。その他の項目に対しても,それぞれの要点とその要点の説明を考えてください。

(5)この手順で書く

ここまで解説した手順で業務内容の詳細を書いてください。この手順で書くことで,試験官に内容が明確に伝わる業務内容の詳細を書くことができます。また,ねじれのない業務内容の詳細を書くことができます。

業務内容の詳細を書くうえでの手順のポイントは以下の3項目です。

①業務の棚卸をすること
②業務内容の骨格を考えること(要点を考えること)
③骨格に肉付けをすること(要点の説明を考えること)

ここで解説したことを参考にして,「試験官に内容が明確に伝わる業務内容の詳細」を書いてください。

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