「(読み手に)内容が明確に伝わる文書の書き方」をテーマにしたセミナーでは,内容が明確に伝わる文書を書くうえでの重要な4項目を解説しています。その中の1つが「内容が明確に伝わる文書を書くうえで必要なこと」です。
「内容が明確に伝わる文書を書くうえで必要なこと」には3つの解説テーマがあります。その中の1つが「伝えるべき内容を書き手が理解していること」です。このテーマの中の重要なキーワードが「理解したつもり」です。これは,自分は理解したつもりだと思っても実は理解していなかったということです。
理解したつもりについて説明します。
“地球温暖化”という言葉があります。「地球温暖化について説明してください」と質問されたら多く方が以下のように答えるのではないでしょうか。
「地球温暖化とは,過去に比べて地球の平均気温が上昇していることです」
この答えは正しいです。
では,「なぜ,平均気温が上昇するのですか。平均気温が上昇のメカニズムを説明してください」と言われたら説明できますか?
もし,説明できなかったら「地球温暖化」について「理解したつもり」だったということです。「地球温暖化を理解している」とは,地球温暖化について掘り下げて理解していることです。地球温暖化について質問されたらそれに対して答えられることです。
「伝えるべき内容を書き手が理解していること」とは,「伝えるべき内容を書き手が掘り下げて理解していること」と言い換えることができます。
「理解したつもり」は厄介です。自分は理解していると思っているので,「自分は本当に理解しているのか?」という疑問を持ちません。
伝えるべき内容に対して,「理解したつもり」か「理解した」かを見分けることは簡単です。「人に説明できるかどうかをチェックするだけで見分けることができます。人に説明できなければ「理解したつもり」です。人に説明できれば「理解した」です。
伝えるべき内容を実際に人に説明してみることが「理解したつもり」を探す最も確実な方法です。しかし,他人の説明しなくても自分が人に説明することを想像し、説明できるかどうかをチェックすれば「理解したつもり」を探すことができます。
会議や打ち合わせに使う資料などを作成するときにこの「人に説明してみる」の考え方が応用できます。資料ができたら,その資料を,会議や打ち合わせに出席する人に説明することを想像してください。もちろん仮想の場面を想像して行います。
淀みなく説明できればその資料は完成です。しかし,説明に詰まったり,上手く説明できなかったりした場合にはその資料の完成度がまだ低いということです。まだ,修正箇所があるということです。
「人に説明してみる」という考え方を取り入れて文書を書いてみたらどうでしょうか?