部下が書いた技術文書をチェックするときに必要なこととは,わかりにくい書き方(内容が明確に伝わらない書き方)の基準を持っていることです。
「〇〇君の書いたこの打ち合わせ資料はわかりにくいので修正してくれ」のような不明確な指示では部下もどこをどのように修正すべきかがわかりません。
この打ち合わせ資料を書いた社員は“書き手”なので“知っている人”です。書き手の立場(知っている人の立場)で書いているのでわかりにくい箇所がすぐにわかりません。わかりにくい箇所を見つけるため,読み手の立場(知らない人の立場)で打ち合わせ資料を読み返す必要があります。このため,わかりにくい箇所を見つけるのに時間がかかるかもしれません。また,わかりにくい箇所をすべて見つけることができないかもしれません。
上司が,わかりにくい書き方の基準を持っていれば具体的な修正の指示ができます。
*結論がわかりにくいので結論を打ち合わせ資料の冒頭に書いたほうがよい。
*決定事項に対して明確な根拠が書いてないので決定事項が明確に伝わる根拠を書いたほうがよい。
*この箇所は文の羅列で書いてあるので見出しを付けてかたまりに分けて書いたほうがよい。
*この文は長く内容がわかりにくいので一文一義の考え方で書いたほうがよい。
このような指示をしてもらえれば部下も修正がしやすいです。また,具体的な指示があればわかりやすい技術文書の書き方(内容が明確に伝わる技術文書の書き方)が勉強できます。
部下に適切な修正指示を出すため,わかりにくい書き方(内容が明確に伝わらない書き方)の基準を上司も持つ必要があります(参考:自己添削のポイント)。
【参考図書】
森谷仁著,「マンガでわかる技術文書の書き方」,オーム社,令和4年3月25日