これまでに読んだ本から(17冊目):【記者ハンドブック】

今回は,「記者ハンドブック」を紹介します。

 「記者ハンドブック:共同通信社」

 「記者ハンドブック」は,新聞記事を書くときに新聞記者が使う辞典(?)です。

記事の書き方,記事のフォーム,日時の書き方,数字の書き方,漢字表,用字用語集,送り仮名の付け方など,新聞記事を書くときに必要な様々な事項が出ています。

このハンドブックは,わかりやすい文章やわかりやすい文を書くうえで参考になります。

また,このハンドブックは,読み物として読んでも面白いです。

例えば,漢字表に掲載されている漢字の中で,丸数字が記載されている漢字があります。①や⑥です。これは,小学校で習う学年を示しています。

_:①=1年生で学ぶ漢字
_:②=2年生で学ぶ漢字
_:③=3年生で学ぶ漢字
_:④=4年生で学ぶ漢字
_:⑤=5年生で学ぶ漢字
_:⑥=6年生で学ぶ漢字

などです。

小学生向けの記事を書く場合にこの表記を参考にするのかもしれません。

ところで,掲載項目の中に「誤りやすい語句」があります。「なるほど」や「ヘッー」と思う語句があるので,その一部を紹介します。

なお,「記者ハンドブック:13版」では,以下のようなコメントがこの項目の冒頭に書かれていいます。

誤用のほか,必ずしも誤りとはいえないが,新聞では統一して使うもの,適当でない言い方も載せた。また話し言葉では普通に使われるが,書き言葉では避けたい用例も挙げている。書き換え例は一例であり,表現を工夫する。

*合いの手を打つ→合いの手を入れる

*明るみになる→明るみに出る,明らかになる

*上や下への大騒ぎ→上を下への大騒ぎ

*受けに入る→有卦に入る

*押しも押されぬ→押しも押されもせぬ,押すに押されぬ

*垣間見せる→のぞかせる,うかがわせる

_注:慣用句は「垣間見る」で,ものの隙間からちらっと見ること。

*喝を入れる→一喝する,喝を食らわす

_注:気絶した人をよみがえらせる,元気付けて励ます意味の「活を入れる」との誤用。

*過半数を超える→半数を超える,過半数を占める,過半数に達する

*着の身着のまま

_注:現在着ているもの以外は無一文の状態を表す。着衣のままでの意に使うのは誤り。

*時機(時期)を得た→時宣を得た

*知らなさすぎる→知らなすぎる

*成功裏のうちに→成功裏に

*・・・たり,・・・たり

_注:「飲んだり歌ったり」のように動作や状態を列挙する場合「たり」を重ねるのが基本。ただし,「飲んだりして,大いに楽しむ」のように1つだけ挙げて例示する用法もある。

*被害を被る→被害に遭う,損害を受ける

*(国会で)法案が成立→法が成立

*まだ未解決→未解決,まだ解決していない

*無実を晴らす→無実の罪を晴らす

*やおら飛び出す→急に飛び出す

_注:「やおら」は「おもむろに,静かに」の意。

*約10分ほど→約10分,10分ほど

*役不足

_注:本来,役者が自分の役を不足として不満を言う意。「荷が重い,大役過ぎる,力不足」などの意に使うのは誤り。

*(・・・した)矢先→(・・・した)直後,(・・・する,しようとする,しようとした)矢先

_注:「矢先」は事が始まろうとする直前の意。

*ゆめゆめ思わなかった→夢にも思わなかった

*善きにつけ悪きにつけ→善きにつけあしきにつけ

*離発着→離着陸,発着

*老体にむち打つ→老骨にむち打つ

*論戦を張る→論陣を張る,論戦を挑む

これらを読むと,「これまで,誤って使っていたな!」と気が付く語句があります。

いかがですか?

「誤りやすい語句」を読んで,わかりやすい文を書く場合にも,誤りやすい語句に注意する必要があると感じました。

ちなみに,「過半数を超える」「まだ未解決」「約10分ほど」二重表現(重複表現)ですね(こちら)。

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