文化庁の「平成28年度・国語に関する世論調査」に関する疑問

文化庁の「平成29年度・国語に関する世論調査」についての内容を書いたブログを10月3日に掲載しました(こらら)。

今回のブログは,文化庁の「平成28年度・国語に関する世論調査」に関する疑問を書いた内容です。

平成28年度は主に“コミュニケーション”に関する調査です。以下の6項目について調査をしています。

Ⅰ:コミュニケーションの在り方・言葉遣いについて
Ⅱ:相手に配慮したコミュニケーション
Ⅲ:情報化の中でのコミュニケーション
Ⅳ:書き言葉のコミュニケーション
Ⅴ:具体的な場面における言葉遣い
Ⅵ:新しい表現や,慣用句等の意味・言い方

今回のブログでは,「Ⅳ:書き言葉のコミュニケーション」の内容に関する疑問について書きます。

問20は,「文字で何かを伝える際,重視することは何か」という質問です。

この問20には3項目の前提があります。(2)は,「報告書やレポート(宿題なども含む)を書くとしたら」という前提です。技術者の方にも関係したことです。

この質問に対して,「情報を分かりやすく伝えること」を選択した方が33.3%「情報を正確に伝えること」を選択した方が50.5%でした。

“報告書やレポートを書くこと”を前提としているならば,「情報を正確に伝えること」を選択した方が最も多いという結果は妥当だと思います。

しかし,この質問に対する選択肢の設定に疑問があります。

“報告書やレポートを書くこと”を前提としているならば,「情報を正確に伝えること」は当たり前です。ここで,「情報=報告書やレポートに書く内容」だと判断できますが,報告書やレポートに書く内容が不正確では困ります。

“報告書やレポートを書くこと”を前提としているならば,例えば,「情報を分かりやすく伝えることを意識している」,「情報を分かりやすく伝えることをあまり意識していない」のような選択肢にすべきです。

また,“報告書やレポートを書くこと”を前提としているときに,「読み手の気持ちに配慮して伝えること」や「自分の気持ちをはっきと伝えること」という内容が選択肢の中にあることに疑問を持ちます。

“報告書やレポートを書くこと”を前提としているならば,「読み手の気持ちに配慮して伝えること」という選択肢ではなく,「読み手のことを考えて書いているか」という選択肢の方がよいです。

“報告書やレポートを書くこと”を前提としているならば,「自分の気持ちをはっきと伝えること」という選択肢はありません。

「手紙やメールなどのやり取りで,個人的な内容を書くとしたら」不特定多数の人が読むインターネット上のブログや掲示板への書き込みをするとしたら」という前提と,「報告書やレポート(宿題なども含む)を書くとしたら」という前提を同じ土俵のうえで比較することが間違っていると思います。

質問の内容,質問の方法あるいは選択肢の内容などをもう少し考えた方がよかったのでは・・・?

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