「マンガでわかる技術文書の書き方」の内容の説明の第2回として,「本のコンセプト」を説明します。
本のサブタイトルとして,「『伝わる』から『明確に伝わる』へ」を付けました。これは,本書のコンセプトが,「『内容が伝わる』から『内容が“明確に”伝わる』へ」だからです。
以下の2つの文章を比べてください。
Ⅰ:製品Aと製品Bと製品Cの比較の結果,製品Aを選んだ。3つの中で製品Aが最もよかったからだ。
Ⅱ:製品Aと製品Bと製品Cの比較の結果,製品Aを選んだ。3つの中で,製品Aは形がシンプルで色も美しくかつ最も使いやすかったからだ。
Ⅰが「内容が伝わる」で,Ⅱが「内容が明確に伝わる」です。
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Ⅰの文章では,この文章を読むと製品Aを選んだこと(内容)は伝わります。しかし,製品Aを選んだ明確な根拠が書いてないため内容が明確に伝わりません。この文章を読んだ人の中で,「何で製品Aを選んだのだろう? 多くの人は製品Bか製品Cを選ぶだろう」と思う人がいるかもしれません。
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Ⅱの文章では,製品Aを選んだことと製品Aを選んだ明確な根拠を書いているので内容が明確に伝わります。
日常業務の中でもⅠのような,内容は伝わるが,内容が明確に伝わらない文書を書くことがあるかもしれません。例えば,結論はわかるが結論に至った経緯がわかりにくい文書です。
ここで,問題となるのは,書き手が「この技術文書でも読み手はこの内容がわかるだろう」と思ってしまうことです。技術文書の内容を確認したとき「わかりにくい(内容が明確に伝わらない)」と思ったら修正します。
このような内容が伝わる技術文書を書く最大の原因は「書き手と読み手の違いの認識不足」です(これについては別ブログで説明します)。
「書き手と読み手の違い」などの重要事項を本書で学んでいただき,常に,「内容が明確に伝わる技術文書」が書けるように「マンガでわかる技術文書の書き方」を出版しました。
次回に続きます。