■「書き方2:全体像を冒頭に書く」とは
「書き方2:全体像を冒頭に書く注1)」とは,「6つのルールと18の書き方」の「ルール1:冒頭に書く」の中にある書き方です(下表の赤枠の書き方)。
書き方2とは,伝える内容の全体像を冒頭に書き,伝える内容の詳細をその後に書くことです。つまり,書き方2は「全体から詳細へ」の考え方です。
例えば,NHKのテレビのニュースでは,ニュースの冒頭で,その時間帯で扱うすべてのニュースの一覧を画面に表示します。その次に各ニュースの内容を順次解説します。ニュースを見ている人はこの時間帯で扱うすべてのニュース(全体像)が頭の中に残ります。したがって,「今〇〇のテーマを説明している。次は△△のテーマだ」などと頭の中を整理しながらニュースを見ることができます。
このような「全体から詳細へ」の考え方でニュースを伝えるのでその時間帯で扱ったニュースの内容が頭の中に入ります。
逆に,ニュースの一覧の表示が冒頭にないとこのような頭の中の整理ができません。ニュースを見たあと「今日はどんなニュースがあったかな」のようになってしまうかもしれません。
注1):「『マンガでわかる技術文書の書き方」の内容の説明:第7回」のブログ参照のこと
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■「『書き方2:全体像を冒頭に書く』を使った受験勉強方法」とは
「『書き方2:全体像を冒頭に書く』を使った受験勉強方法」とは,まず,解説内容の全体像をノートに書き,その後に,個々の項目の詳細(要点など)を書くことです。このような勉強方法をすれば解説内容が頭の中に入ります。NHKのテレビのニュースの伝え方と同じだからです。
令和5年度の国土交通白書の中に「第1部 デジタル化で変わる暮らしと社会,第2章 豊かな暮らしと社会の実現に向けて,第1節 国土交通省のデジタル化施策の方向性,1:防災分野のデジタル化施策,(2)今後の施策展開」という項目があります。「(2)今後の施策展開」の解説内容の全体像を書くと以下のようになります。
①防災・減災対策を飛躍的に高度化・効率化する取組み
*デジタル技術を活用した流域治水の推進
*技術開発や対策効果の見える化を実現するデジタルツインの整備
*デジタル技術による迅速な被災状況把握
②人工衛星やスーパーコンピュータを活用した取組み
*デジタル技術を活用した防災気象情報の高度化
*人工衛星を活用した土砂災害の早期把握への取組み
解説内容のこの全体像をノートに書くことで「(2)今後の施策展開」のポイントがわかります。その後に,個々の項目の詳細(要点など)を書けば「(2)今後の施策展開」の内容が頭の中に入ります。
これが,「書き方2:全体像を冒頭に書く」を使った受験勉強方法,つまり,「伝える内容の全体像を冒頭に書き,伝える内容の詳細をその後に書くこと」に基づく受験勉強方法です。
「『書き方2:全体像を冒頭に書く』を使った受験勉強方法」は,教材の中のすべての解説内容に対して適用する必要はないかもしれません。解説内容を考えてこの受験勉強方法の適用の可否を考えることがこの受験勉強方法でのポイントです。
「解説内容を理解したうえでこの受験勉強方法を適用すること」は言うまでもありません。
【参考図書】
森谷仁著,「マンガでわかる技術文書の書き方」,オーム社,令和4年3月25日