今年の2月,大学時代にお世話になったM先生が癌で亡くなりました。80歳でした。私の在学中,M先生は,舗装工学を専門とされていました。
今では,M先生の舗装工学の授業内容はほとんど覚えていません。しかし,M先生が授業中に話されたことで今でも覚えていることがあります。キーワードは「自己責任」です。
「自己責任」とは,「自分の行動の責任は自分にあること」,「自己の過失についてのみ責任を負うこと」です(出典:goo辞書)。
余談ですが,広辞苑(第5版)にも岩波国語辞典(第5版)にも「自己責任」の意味が掲載されていませんでした。「自己」と「責任」の意味を組み合わせればわかるということでしょうか? それともこれらの最新版では掲載されているのでしょうか?
もう40年弱前のことなので,M先生の話の内容を正確には覚えていませんが,次のような内容だったと思います。
警察は歩行者が道路を横断するとき「信号を守れ」という。確かに,交通量が多い道路などでは信号を無視した横断が交通事故につながる。しかし,次のような場合はどうだろうか。車がほとんど通行しない道路を横断するときまで「信号を守って横断しろ」と言うのか? 左を見ても右を見ても車が来ない道路にもかかわらず信号を守って道路を横断するのか? 「自己責任」の上で道路を渡ればよいのではないか。もちろん,左右から車が来ないことを確認し安全に渡れることが確認できた場合での横断だ。
なぜか,M先生のこの話が強く印象に残っています。理由はわかりません。
自宅から会社までの間に幹線道路を横断する箇所があります。
もちろん,信号機はあります。夜11時頃帰宅するときにはその道路を通行する車はほとんどありません。この道路を横断するときには,もちろん「自己責任」において,左右を確認し車が来ないことを確認したうえで信号を無視して横断します。左右見通しが良いので車が接近すればすぐにわかります。
ただし,歩行者が信号無視をして横断した結果交通事故に遭遇したとしても,車の運転手の責任も問わるのでそのことも踏まえた自己責任になると思います。
今回「自己責任」をテーマにしたブログを書いたのは,亡くなったM先生のことを綴った本を最近読んだからです。
M先生がアメリカに出張したとき,現地で,自己責任を痛感した出来事があったそうです。この本を読んでいて「そうか,これか,先生はこの経験に基づき自己責任ことを授業で話されたのか」と思いました。
M先生のご冥福をお祈りします。