日経コンストラクションという専門雑誌があります。
土木関係の業務に携わる方の多くが読んでいる専門雑誌です。日経コンストラクションとは,日経BP社が発行する土木関係の雑誌です。毎月第2と第4月曜日に発行されます。土木の最新ニュースや最新のニュースをテーマにした特集あるいは技術開発の話題など土木・建設にかかわる情報を幅広く伝える情報誌です。
この日経コンストラクションの2016年8月8日号の特集は,
「黙認体質の罪・東亜建設工業の不正に見る自浄作用欠如の構図」でした。
東亜建設工業は,羽田空港(C滑走路)の地盤改良工事で施工データを改ざんし,発注者の国土交通省関東地方整備局に虚偽の報告をしていました。施工不良だったためデータを改ざんしたようです。この地盤改良工事は,滑走路下の地盤が地震時に液状化しないように薬液で地盤を固める工事でした。予定の5%程度しか地盤を固められなかったようです。これでは,改良前の地盤と変わりがありません。
不正はこれだけではありませんでした。
羽田空港での別の滑走路(H誘導路),福岡空港,松山空港,八代港の岸壁工事,千葉港の地盤改良工事と,羽田空港(C滑走路)での不正発覚後も,施工不良とそれに伴う虚偽の報告(不正)が発覚しました。
これらの不正は,今年の5月頃,テレビのニュースなどで伝えていたのでご存じの方も多いと思います。
「黙認体質の罪・東亜建設工業の不正に見る自浄作用欠如の構図」を読むと,多くの人(記事によれば33人)が不正に関与しながら,不正を止めようとした人は現れなかったようです。また,東亜建設工業の社内には不正行為に関する窓口がありましたが,活用されなかったそうです。今回は,二次下請けが一次下請けに施工不良を通報したことで不正が発覚したそうです。
今回は,まさに,技術者の倫理が問われる不正(事件)です。
免震ゴム支承の偽装,杭施工データの流用,自動車の燃費不正測定など技術者の倫理が問われる不正(事件)がここ数年多発してます。
なぜでしょうか? これらの中には人命に関わる不正もあるのですが・・・・・・。
参考として,土木学会での「土木技術者の倫理規定」の中にある「倫理綱領」を以下に示します。
倫理綱領
土木技術者は、
土木が有する社会および自然との深遠な関わりを認識し、
品位と名誉を重んじ、
技術の進歩ならびに知の深化および総合化に努め、
国民および国家の安寧と繁栄、
人類の福利とその持続的発展に、
知徳をもって貢献する。